さいとうつづりの黒い森
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個展のおしらせ

 

紫陽花

 

 

水たまり

 

 

彷徨して

何処へ

此処へ

 

 

 

 

 

個展のお知らせ

 

さいとうつづり

 

「 夜 夜 ノ モ ノ ガ タ リ 」 

 

会期 2017年6月15日(木)〜 20日(火)

時間 12:00 〜 20:00

場所 にじ画廊 (吉祥寺)http://nijigaro.com

 

夜に落とされた物語の欠片たち

絵と言葉の静かな6日間

 

 

 

 

 

ひさしぶりの展示

 

変わること

変わらないこと

 

見に来ていただけるとうれしいです

 

よろしくおねがいいたします

 

 

さいとう つづり  

(全日在廊の予定)

 

終わり/始まり

 

これから母の富山へ

 

 

 

 

今年はいろいろあった

その最後に昨夜は素晴らしいものを見た

 

大切なことを大切に

もっと

 

 

終わりと始まり

 

 

今年もたくさん野菜を食んだ

来年もきっとたくさんの野菜を食む

 

 

富山はきっと寒い

鼻のあたまがツンと赤くなる

 

日本海の冬は少し夜に似ている

吸い込んで放とう

白いコートに白いマフラー巻いて出かけよう

 

 

 

 

よいお年を

 

 

 

 

食事

 

ミントティー


あの季節の

あの時の

少し苦いような

歪なカタチの氷砂糖


暗闇を水に浸して薄く延ばし

そこに顔をつけて呼吸して

その向こうに小さく瞬く星のような








クレマチス








ブリティッシュフォークを

目を細めて眺むる


その景色の中で

花を摘んで蜜を吸う


花を編んだ冠は

そこに住まう

永遠の少女のもの








白うさぎ








マモノがこちらを見て言った

不可思議なこと


私は目を閉じて言った

そう

不可思議なこと

そしてミントティーを飲んだ

 

 

ただ星を眺めていたいだけと





 

 


さいとうつづり
 

4 年

今月で
父が亡くなって
4年が経った


4年というと
ある程度の時が経ったように思うけれど
父がこの世界にいないことを未だ
どこか嘘のように思っている







つづりはお父さんと血がつながっているけれど
お母さんはつづりの知らない時間をお父さんとたくさん過ごして来たのよ
つづりの知らないお父さんを知っているの
(私が生まれるまで:約11年間)
母はそう言って
娘の私を相手に父自慢をする
あんなにいい男はいないと
ひと目だけでも会いたいと言う


姿が見えなくなって4年
父は愛され続けている







若かりしふたり
私はこの写真がふたりらしくて好きなのだけれど
お父さんはもっとカッコいいし
お母さんだってもう少しはいい 
もっと素敵な写真がたくさんあるのに
と母は不満げ


渋谷にて
セピアのふたり


ふたり

ス ー プ


どこにいるの



ここだよ





森




スープ




スープ




スープ




スープ




スープ




スープ




スプ




スープ




スープ





どこにいるの



ここだよ










どこにいるの



ここだよ










どこにいるの





森


コギト・エルゴ・スム
 
12月に入って

母たちの喫茶店の飾り付けにと

リースを作った






使用する花材を選びにいつもの花屋へ行き

他の季節にはそこで見かけることのない

杉の大きな枝に目が止まり

気付けば抱きしめて持たなければならないほど幾本も買い込んで

電車に乗って

夜道を歩いた






リース






リースに使用したのは僅かで

残りは当てもなく私の部屋に横たわる


次の日に見るとそれはもう呼吸を取り戻し

枝は木となり

木は森となった






もう嫌よ


私は冷たい手と冷たい足を切り離して

森の片隅に埋めた

それで少し楽になったと思ったけれど

私の持つもの形作るものすべてを手放したくて

狂おしい


私にあるのはいらない私

それを失くすにはどうすれば


そう考えるのもまた私


いつしか開いた森がこうしたの

森に憑かれ

森は私を喰らい

入り口へはもう戻れない


部屋は木で埋め尽くされて

部屋と森の境目がわからない

どこか奥のほうでホーホーと梟が鳴いている

朝か夜かもわからない






滑稽と己を嘆き

己を笑い

手と足を掘り起こしてローズマリーの湯に浸けて

それらを躯へと戻した


野菜をきれいに皿へ盛り付け

丁寧に味わって

それから木のスプーンでスープを飲んで

清潔なナプキンで口と頬を拭いた






まだ少し冷たい手と

つないだ腕と


静かに森を

抱きしめた


鳥の空

広い空


青い空




鳥は放たれ


そして消えた




帰してと


帰してと




翼を置いて


何処かへ消えた




その鳥の自由は


空に無く












存在しない時間を過ごして


その日々を書き綴る




食べてもしかたのないものたちを


フォークに刺して口へ運び


咀嚼して


少女は空虚に


それを飲み込む




疲れて眠り


目覚めると


また存在しない時間が始まる




それでも少女は


日々を止めず


その物語を書き綴る




存在しない月の満ち欠けが


少女に生を与えてる












水たまりを飛び越える


小さいの


大きいの


罠か鏡か入り口か


雨は何も言わずに降り落ちてはその一部と化して


私は向こうの岸まで足を広げて


思い切り




けれど届かず


水に落ちて


そのまま沈んで


手を振った


こちらを覗き込むもうひとりの私に手を振った












閉じた耳は永遠を聴く


そこには翼のない鳥が飛んでいる


おかえりなさい


そう言う手は傷だらけ


まるであなたの手のように