illustratorさいとうつづりのblog
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ル シエル
最近
撮ったものを見返したら
空ばかり写っていた


空を見上げていたのね




菜の花





宵闇





ツバメ




遠い空の
空に隠れた別の場所




moon




やさしい光
この手に触れることができたなら


愛おしいあなたの欠片
どこかに落ちているかしら

創造主
あの夜
奇跡を見た


美しいひとたちよ
美しいひとたちよ
強く美しい光を放つひとたちよ・・・!


鋭い閃光がこの身を容赦なく突き刺して
切断と崩壊
麻痺と狂気
溶解と悦楽


これがひとの成し得ることなのだ
たとえ限りはあっても
小さく
儚くても
ひとはこんなにも創造し
力を放出して
そこに確かな美しい世界を築き
その身を澄ましてゆくことができる
その命を信じ
生を司っているかのように


そう焦がれてもいいですか
その喜びに
ためらう必要はないですか
望んでも許されますか


その答えは
無数の閃光とともに降り注いだ
夢でも幻でもない
けれどまるで奇跡のような光景が
世界が
そこにあった
姿の見えない誰でなく
ひとの創造しせる奇跡


解放という名の夜だった


じ ゆ う
ずっといっしょにいたかったよ
だけど怯えなくていい

キミが朽ちてしまうまえに
キミを食べてしまおう

ポーキュパイン

ほら
もうずっといっしょだね



ずっといっしょにいたかったよ
だけど別れる時も来るということ

キミがいつも空を見上げていたこと 知ってる
願っていたのでしょう
翼を広げる鳥のように

自由

ほら 飛んだね 
キミは鳥だよ

少しさみしくなるけど
またいつか

さぁ どこまでも飛んでゆけ

胡蝶の夢
「 夢じゃないよね 」

信じがたくて
けれど信じたくて
それでもやっぱり夢でした なんて
あとで空虚な傷を負わないように
恐れながら
拝むように願いながら
そう何度も何度もうたがってみては確認をして
その度に胸を撫で下ろし
幸福感に包まれたのに

ほらね
この目が開いたら終わってしまった
まだ途中だったのに
とたんに 波が引くように消え去って
かわりに否応なく別の世界が映り込んだ

見慣れた天井が
やわらかな布団までも
恨めしいほどに有機的で
そうゆうものに囲まれていた
恨めしいほどに

ほらね
また傷を負ってしまった
だからあんなに何度も確認したのに
夢じゃないんだって

でもね
おかしいと思った
おかしいくらいに幸せで
だからあんなにうたがった
それならもっと騙し切ってくれたらよかったのに

こっちが本当の世界なのね
そうなのね

でもその本当って何
それは本当

そう思っている間に
開いていたはずの目がもう一度開いて
そしたらまたあの幸福に包まれたりして
もしくはまた別の天井や
別の世界を映しだしたりして


夢うつつ

咲き誇れ
さくらも咲かなければいいのに
って 思った

この前の年も 今回も
胸がキリキリとして
し過ぎて
思いの中であなたを何度も切り倒した
それほどに

それでもさくら
あなたは咲くという
あなたは咲くことをやめてはくれなかった

あなたが咲く季節を心待ちにしていたひとがいるの
けれど
今年はその時を迎えることができなかった
ずっといっしょに迎えられたらよかったのだけど
もうずっと
ずっとできないのだって

次の春も
その次の春も
もっと先の春までも

そんなことがあるなんてどうして信じられようか
この先の春がそんなに悲しいなんて覚悟
できてない

できてないから
そんな先のことは誰もわからないでしょう
そう思ってる
だってそう
そんな先のことは誰もわからない
本当に わからないのだから

それでもさくら
あなたが咲くというのなら目を背けてはならないね

でも怖い わからない
あなたをどんな顔をして見つめることができるというの
どんなふうにして受け止めればいい

答えは出ない
戸惑い思いあぐねる私をおいて
あなたは迷うことなく次々と蕾をほどく

罪深き花よ
ならばいっそ咲き誇れ

優しくなくていいから
逃れられないように
そうしてあなたのもとへ誘き出して

すべての者に
生ける者
私に この春を与えて



さくら



さくら



さくら



さくら



さくら


ねぇ、見てる?

さくら



たくさんのさくらを
たくさんのさくらを



さくら



そうね
あなたは「 生 」なのね
絶対の生
だから怖かった
けれど怖いほどに 美しい



さくら



さくら



さくら



さくら



ほら
もう囚われた



さくら



さようなら さくら
いろんなことが不確かだけど
あなたは確かで

また次の春も
会えるといいね


春宵幻想
止まってしまえばいいのに

どんなにそう思っても季節は巡ることをやめず
冬の女王は静かに去り行き
空気は再びゆるやかに膨張を始めた。
私たちは操られている。
目に見えないものに、終わることなく私たちは操られている。
帰路を示す細い光の糸はやや薄らいだものの
まだ私を、私の待つ空間まで導き続けてくれている。




それは風のある日だった。

深い夜が完全に降りてしまう前の宵闇迫る街の片隅
細長く延びた帰り道を歩いていると
その闇の中を白木蓮の花がぼうっと浮かぶように咲いていた。
どこに出かけるにも帰るにも
いつだってこの木の下を通っているのに
咲くまでは見上げることも白木蓮だと気付くこともないのにね
薄情なものだと罵る自分を小さく押し込めて
その美しさに見とれて足を止めた。


白木蓮は怪しげに美しい。
膨らみゆく青々としたこの季節の空を背景に見るのも映え気品高く美しいけれど
私は闇に浮かぶこの姿に見惚れる。
闇に浮かぶのは
この乳白色の繭の一つ一つにきっと
妖精や精霊みたいなものが宿っているからで
その繭の花びらの中から地上の営みを静かに静かに見つめているのだ。
そして夜毎、音も立てずに
私たちの知らない世界の言葉で知りえない話しをしているのだ。
だから私は恐れながらも
この花の怪しさに惹かれてしまうのだ。


足を止めた私の横を
私が来た方向からおじいさんが歩いて来て
通り過ぎて行った。
けれどいくらか背の曲がったそのおじいさんは足や腰を弱めているのか
その歩みは引きずるようにとてもゆっくりで
通り過ぎてゆくのにも時間がかかるほどだった。
買い物の帰りなのか、手にはスーパーの袋が握りしめられていたけれど
袋の中身はそれほど重たくなさそうだった。
それほど気にすることもなく
私は白木蓮のもとに立ち尽くし
それからしばらくしてまた歩き始めると
少し行ったところでさっきのおじいさんに追いついてしまった。
その細長い道の前方にも後方にもはおじいさんと私の他に人気はなかったけれど
私の頭はまだ白木蓮を追いかけていたり
暗がりということもあって
前方をゆくおじいさんのシルエットを捉えてから
追いついてしまうまでに時間はかからず
一瞬心の中では躊躇したものの
勢いそのままに、おじいさんを追い越した。

その時、私は自分に対してとても嫌な
罪悪感に似た気持ちを覚えた。

自由の利かない体でやっとの思いで歩いてきた道のりを
そんな苦労も知らないような私のような者に
あっという間に追いつかれ、あっという間に追い越される。
それはどんな気持ちだったことだろうと思い
いたたまれなくなった。
おじいさんの歩みは本当にゆっくりなので
私がおじいさんを追い越さなくて済むほど
ゆっくりと歩くことはできなかっただろうし
一本道だったので他の道へと逸れることもできなかったから
追い越すのはやむを得なかったといえばそうかもしれない。
それに白木蓮のもとでおじいさんが通り過ぎてゆくのを見ていたのが私だったとは
おじいさんは気付いていなかったかもしれない。
それでも私はやりようのない申し訳ないような気持ちでいっぱいになった。
歩みを遅めるべきだったか・・・
せめて「こんばんは」と挨拶をすればよかったのに・・・
追い越した時の自分に対してそんな後悔の念を抱きながら歩き続けていると
ふと、道の脇に茂った草々のしなやかにそよぐ姿が視界に入り
ハッとした。

おじいさんはつらく思うことも羨んでもいない。
私が白木蓮に目を奪われたように
おじいさんの歩みだからこそ目に映る美しい花があるに違いないし
ゆるみ始めた空気とその季節を体いっぱいに感じ
ひとり静かに楽しんでいたかもしれない。
おじいさんは歳を重ねておじいさんになったのであり
私が自身を咎め懸念しているこれらのことなどは
おじいさんにとっては
時の過ぎ行く中でとうに受け止めて来ていることであって
それは逆らうことのできない人の生であって
そうしておじいさんはゆっくり
ゆっくりと
今こうして穏やかに歩んでいるのかもしれない。

あぁ、私はなんと浅はかであることよ。
エゴを押し付けようとして
勝手に思いめぐらして
おじいさんをどんな思いで見ていたというのだ
私は何だというのだ
なんと失礼なことだろう・・・。

それもこれもやっぱり私の勝手な思いに過ぎないのだけど。

やわらかで、まだ少し冷たい春の夜風に吹かれながら
少し笑った。
後ろを振り返ってもそこにおじいさんの姿はなく
今あったことや私の心にあったものは
あの白木蓮に見せられた幻のようにも思えた。

そんな夜だった。


白木蓮





恩師の訃報を知った。
画家であり
私が中学生の頃に通っていた絵画教室の先生。
土曜日の夕方、部活を早退して通った近所のアトリエ。
先生の自宅に併設されたそのアトリエの壁面には絵が描かれていて
そのアトリエ内のウッドタイルの床や壁に染み付いた油絵の具のにおい
イーゼルには先生の制作中の大きなキャンバス
整然と並ぶ石膏像
レコードプレーヤーから流れるクラシック
その中をひとり、私は与えられたモチーフを前にデッサンや静物着彩をした。
時々、先生がアトリエに入ってきて指導や直しを受ける時は緊張したものだった。
アトリエには絶えず硬質な空気が漂い
近寄りがたいような
けれど、私はその静謐な空間が好きで
そこに崇高なものを感じ
それが後まで通ずる絵画や制作に対する精神を育んでくれた
重要なひとつの体験となっている気がしている。
私がアバタのヴィーナスを描き上げた時には
日ごろはあまり表情を出さない先生がとても喜んでくれたのを覚えている。
恥ずかしく、うれしかった。
そのアトリエに通ったのは高校に上がるまでのわずか数年のことで
以後、先生と会う機会をあまり持つことができないまま来てしまったけれど
本当に大切な時間を過ごさせてもらった。
その恩師が亡くなっていた。
昨年の秋のことだそうだ。
ご冥福をお祈りいたします。


いることといなくなること
そのふたつを近くに感じる
この春。
メメント・モリ
冷たく澄んだ2月のある午前
この世界での最後の呼吸をし終えると
愛おしい命のともしびは静かに静かに消えてしまった

どんなに待っても次の呼吸をすることはなく
どんなに名前を呼んでも閉ざされたそのまぶたが再び開くことはなく
強いモルヒネによって痛みの苦しみから解放されて
とても穏やかな顔を浮かべて
まるでうたた寝でもするかのように そっと
けれど覚めることのない
永遠の眠りについてしまった



お父さん
あなたは深緑
あなたは優しさに満ちていて
不器用だけど私たちを深く愛してくれて
あなたの存在は広葉樹の茂るあたたかな森のよう
私の平穏の象徴だった

そのあなたはもういない
いなくて
この世界は色褪せて
心の中に出現し
辺り一面を吹き飛ばしたいくつもの広大なクレーターは
ぽっかりと空いたまま
あれからもう一ヶ月以上が過ぎたのね
あなたがいなくても
何ら変わりなく 寸分の狂いなく時が刻まれ続けている
それが不思議に思えてしかたないのに
そんな不可思議なことがあるものなのね



いないとはどういうこと
もう会えないということ
あなたと過ごしたい時間が日々がまだ山のようにあったのに
もう叶わないということ

美しい花が咲いていた時 胸を揺るがす風景や
夕焼け 流れ星
あの公園にまた出かけたくなる麗らかな日の訪れ
あなたが熱心だった宇宙や文明の新たな発見を知った時
美味しいものを食べた時
見てもらいたい作品ができた時 
伝えたい思いがある時・・・
これから迎える日々のあらゆる時の中で
私はあなたを思うでしょう
この世に生きる喜びを感じた時は
同時にあなたのいない世界に私はいて
その現実を受け入れていることになるのかと
悲しまずにはいられないことでしょう
それでも私はこの世界で生きてゆくのでしょう
悲しいけれど、生きてゆくとはそういうことなのでしょう

なんて わかりやしないのに

生きるとは何でしょう
生きるとは何
なぜ命は与えられるの
与えられたら生きなくてはならない
それはとても過酷な試練で
それでも夢みて 焦がれて
この命に感謝をして
こんなに生きて 生きている
それなのに、与えたものを何故そうして無下に奪い去るの
ひとつしかないのに
一度きりなのに

この生の不条理よ
そこに意味などあってたまるものか
運命などと
安易にそんな言葉を持ち出さないで
だってあんなに生きて 生きていた
生きていたのに
生きていたかったのに
生きていたかったのに

生きていたかったのに!

わかりやしない
生きるとか 生きてゆくという意味
それぞれの ではない
万物のにおける
命が与えられる理由
この現象
誰もが与えられているけど
誰も教えてはくれないし
誰も知らない
誰ひとり知らない
この胸の鼓動は誰のもの
私たちは自由なの
それはあっという間に奪われる自由なの
絶対者は存在するの

知らない者たちばかりがこの地上の一瞬を共有して存在しているだけ
そして
みんな いなくなるだけ
知らないまま いなくなるだけ

知らないしわからない
けれど私にも与えられたからここにいる
きっともうしばらくここにいる
そしていつかいなくなる
奪われるとも果てるともわからない
けど
いることといなくなること
そのふたつはとても近い存在で
手を繋いでいるかのように
今はそう感じる



それでも
いなくなったらやっぱりもう会えないの



お父さん、会いたいよ
会いたくて
会いたくて
会いたくて
会いたくて
一目でもいいから会いたくて
けれどこんなに呼んでも会えなくて



ここにいるじゃないかって
優しくとなりで微笑んでいるかな



菊



まだここにある現実が現実ともつかないようで
わからないことも膨大にあって
けれど、すごく感じてる
それは今まで畏怖してきた想像でしか及ばなかった存在
あるいは存在を超えた大きな大きな固まり
概念ではなく
もっと確かにそこにあるもの、あったものが
やおらその姿を現しはじめ
圧倒されて
心がはだけてしまいそう

それでもたぶんうれしんでいる
私はこんなに無知で
そしてまた新たな世界の扉の前に辿り着き、探求が始まるのだから
探求するべきことがあちらにもこちらにもこんなにあって
私の思考力では気付くことや
考え至ることのできないものもきっとそれ以上にあって
それらを知る前にここからいなくなることになるだろうけれど
それまでいくら思想するのも自由だもの
それは自由
そして、すればするだけ私の中では繋がってゆく
至上の景色に包まれる
すべてはそこに繋がってゆく
心が震える



父と会えないことは耐え難いほどにさみしくて
それまでの平穏は崩されたけど

与えられた理由も生きる理由もわからないけれど
生きているからこんなにわからないことがあるのだし
生きているから思想することができるのだものね
まだまだ学ばなくてはならない

だから私は生きていたいのだろうな
美しいものも求めるものもここで見つけることができる
私を生かすために必要なものは
そんなに多くはないはずだけど
散らばっているから拾い集めていかないと
けれどそれらは確かにここにある



そして

生きることで死を想う

いつか眠りにつくその時まで






私にとってこれほどの悲しみは初めてのことで
一時は絶望に支配され
しばらくは書くことも描くことも
あらゆることができずにいたけれど
そんな自分は無のようだったけれど
そうしながらでも静かに時を過ごしてゆく中で
父を感じ
いつまでも母や私や
父を思う人たちの中に
こうしてこれからも変わらず居続けてくれるのだと
本当に手に取るように 触れているように実感として思えるようになって
もしかしたらたまに見えているのかもしれないけれど
そしたら止まっていたものがまたトクントクンと動きだして

あぁ、よかった
私、無のままではなかった

動きだして湧いてきたら
今度はあふれないように放出しなくては
それでもまだこの自分を収めきれず
制御ができずに
時に暴発したり散乱したり
浮かんだり沈んだり駆け巡ったり漂ったり増殖するこの思いを 感情を
うまくまとめて吐き出すことができないように思うから
吐き出すことのできる形を成したところからしてゆけばいい



父は私が笑っていると喜んだ
私の笑う顔が好きだと言い
日々を笑顔で過ごすことのできるようにと望んでいた
けれど私は父の望むほど
そんな表情をしている姿を見せてあげられなかったように思う
いつも鬱々として
心配ばかりさせて
それが娘として申し訳なく
本当に悔やまれてならない

けれど父は最後の時を迎える2日前の夜に
病室のベッドに力なく横たわり
もうほとんど出ない声を振り絞って
そんな私の存在意義を100パーセント肯定してくれる最上の言葉を与えてくれた
その言葉は強力なお守りとなってこの先の私を守り続けることだろうし
その言葉が私をくるみ、救って、強くする
最上の
そして最後のプレゼント
その時の父が私を見つめる優しいまなざしが
声やその言葉とともに私の目に 胸に焼きついている

これからも父は私を見ていてくれることだろう
笑うのも泣くのも
どんな表情をするのも



つづり、なんでもまっすぐ言っていいからね
数日前
臆する私に母がくれた言葉

喜びも悲しみも分け隔てなく
ここにあるどんなことも
すべてはその時々においての私の日常であり 今であり
私を司る思いであり 事である

自分の思いに素直でありたい



放出作業
その意味とは別に
大切なことだから避けたくないと思い
何度も書いては消して
やっとここまで書きました
それでもこの文は自分の思いにおいても伝えるという意味においても
稚拙で乱雑で
まったくの途中に過ぎないので
対峙しながらまた少しずつ

ひだの奥にある細かなものは
文字にして表すには語彙力に乏しいので
キーを打つ手をステッドラーや筆などに持ち替えて



読んでくださった皆さま
ありがとう
近くにいてくれたり
思っていてくれた方々にもたくさんの感謝を



メメントモリ



メメント・モリ
死を想え
いつからか私の中に潜んだ言葉
そしてこの言葉は
父と母の敬愛する作家であり写真家の藤原新也さんの著書の表題でもあります
父の病が発覚した後、二人はご本人に会いに行き
その時に三人で撮った写真が父の遺影となりました
それは父らしい、とてもいい顔をしています






メメント・モリ



死を想え



あなたを想う