さいとうつづりの黒い森
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セロリ喪失

過ぎ去りし秋の食雑録


 セロリ




新潟の伯母と伯父の畑から
この秋にもまたたくさんの野菜が届いた

セロリは一本でなく
一株という単位で入っていた

抱きしめて運ぶ大きさのセロリを前に
どうしよう・・・
困りはしない

セロリなんて
大好きだもの


感激して伯母にお礼の電話をすると
でも野菜ばかり食べていてはだめだからねとたしなめられた
伯母の近くに住む祖母のターシャにも電話をすると
ターシャからも同じことを言われてしまった




幾通りものサラダと化した後
葉もいっしょにスープとなって
一株のセロリが私の前から姿を消した

サラダ




母からは栗ごはん
栗の好きな私ために毎年作ってくれる
栗だらけの栗ごはん
そんな栗ごはんを父はいつも笑ってた

栗ごはん




お抹茶を点ててお菓子をいただく
そんなことをするのもいい
作法を知っているわけではないけれど
抹茶と茶せんは持っている
茶人である京都の伯母と伯父が気軽に楽しむといいと言っていたので
そうしてる

お抹茶




どの季節もそうだけれど
秋には秋にしかない
美しい食べ物があると実感する

干し柿




メレンゲも秋から冬の食べ物
それは私が勝手に思っていることだけれど
きっとそう

美しくて脆い
罪なお菓子

春になるまでまた何度か
求めてしまうことと思う

メレンゲ


宵ヲ待ツ 月ヲ見ル 

春に母が作り保存してあったふきみそを先日もらってきていたので
料理に使って美味しく食べた


ふきみそ食べたよ
美味しかった
ありがとう


そう報告すると
母は電話越し
とても驚いた様子で


えっ
月見草食べたの・・・?!


そう言って
そのあと聞き違いにふたりで笑った


母はその日
野の花の名の出てくる歌を口ずさみながら妹のお散歩をしていたそうで
そのため思考回路がそちらの方向に働いてしまったとのことだった


私の発音が悪かったのだろうけど
月見草を食べようとしてもおかしくない娘というのも否めない






でも
月見草のスープって素敵


ほのかに光を宿して
すうっと底まで透き通るようで
すくってみると濁っているような
さらさらとした黄色のスープ


ひと皿にひとつの
月を見上げる物語


いくつもの物語がある中でおすすめは
夜ごと月を目指して飛ぶ小さな鳥のおはなしと
月を隠しめる密時と澱む静寂のおはなし






幼い頃に暮らしていた東京の我が家の庭に植わっていた
黄色い月見草


その頃庭にあった植物たちは皆
私を強く惹くものであり
腹心の友のようなものだった
月見草という名を幾度も口にしたし話をした


なので月見草もまた
今もなお特別な響きをもった存在として思いの中にある






黄色い月見草
多くは野に生えている植物で
その名は通称なのだそう


正しくは
宵待草(もしくは待宵草)という






宵待ち


机上の秋想

机




フレンチトースト




アクセサリー




机




秋




挿絵




cake




たまご




フィグ




ブーケ




アールヌーヴォー
ボヘミアングラス
アンティークのアクセサリー
それらは深まる秋に同じ
目を伏せたように
滅びと光の
記憶
この身に着けることを
喜びとする




あまいものは特別に在る
甘美であり
いざなうから
ある意味の夢と同じ
ある意味の毒と同じ
何よりのたべもの
だから代償を払っても
求めることを許しているの
罪であることがまた
素敵に思う
恥じらいとかりそめの
ロマンティシズム

許すこと
許さないこと
そればかり




可感世界
シュルレアリスト
コラージュ=視覚的イメージの錬金術のような何ものか
冒涜的であり
美しい
ページをめくる




みんな同じ白だけれど
その中に特異な姿が
ひとり
その薄い殻は不可思議な曲線を描いて歪んでおり
手に取り見つめ
愛おしく思ったあなたを
スクランブルエッグにはできなくて




無花果が好き
見てはいけないものを
見てしまっているようでしょう
密やかなる実
淫らでグロテスクである
その現実と現象に惹かれる
そして口に含むと
惑いと眩み
迷いそうになるでしょう

忘れえぬ時と
この思いに
欠片に祈り






留めずに紡ぐ
見える
聴こえる

この物語に
行けばいい

雨の国

たくさんの雨粒が

降りそそぎ





しばらくがして

上がって





また降って





上がって





カーテン 





降って





雨





上がって





雨





降って





雨





上がって





雨





降って





降って





降って





もっと

もっと降って





雨





降るのは






落つのは




しと




しと




しと




しと




しと




しと









目が覚める

世界の境目は
雨の音

とてもやさしくて

そんな朝は
好きと思う









しと




しと




しと




しと




しと




しと









雨は

私の好きな
サ行やザ行の音に似てる

存在や現象
景色や色や質感が









しと




しと




しと




しと




しと




しと









紙と




思と




詩と




絲と




翅と




私と









今日も降るのかな


紫陽花


春にあそぶ

あたたかいものを欲する回数が減ってきて



気付けば花を終えた梅の下ではぺんぺん草が満開
誰に見られるともない小さな野の花
たくさんの手を伸ばして静かに咲いてる
すべての手はつながれる
喜び
風にそよぐ
地上からわずか20センチの世界



桜ももう満開になっているところもあるそうだけど
まだ見ていない



桜を見に行く
思っただけで胸がハラハラとする
桜の下で宴会なんて考えられもしない
桜に会う
それだけで目いっぱい
目を背けてしまいたいくらいに
いつもそう
会ってしまえば否応なく惹かれることなど
わかっているのに


会いたくて
会いたくない

だけど会いたい


逃れることなど
できやしない


あなたの下で踊る
夢をみる






冬のあいだ大活躍してくれたカフェオレボウル
釉薬が薄くて口をつけると土の質感がさらさらと心地いい
tea が好き
この器で飲むのはもっぱらミルクティー

カフェオレボウル


フランボワーズやスグリや矢車菊や薔薇など 果実と花々のtea
花摘みのかご
冬をぬけ
口にふくめば野にあそぶ

tea






ひとり言をつぶやいて
ふふと笑う

おそろしいこと
ねがうこと


春にあそぶ

石榴
果実を割る



石榴



薄皮を剥いで
秘密の部屋を開けてゆく



すると輝くルビー
その赤く透き通った果肉の奥に宿りし黒
白い種子が静かに笑う



残酷で耽美



実を取り出してゆく作業は喜び
快楽
夢中になって写真を撮った



こんなに美しい果実を私は知らない



ザクロ
あなたのような絵を描きたい



石榴



石榴



口の中で赤がはじけた


石榴

ハロー ボーイ
いつか魔女になれるかしら

ジャック
花想
行きつけのカフェからの帰り道
商店の店先で
静かにたたずんでいた白
白い小さな花の花束

日は落ちて
薄暗り
その姿が淋しそうに見えたので
もう待たなくていいように

そこから先は
その子たちといっしょに帰ることにした



白くて小さくてまんまるの
たくさん
たくさんの 花たち



白い花



まんまるの花たちを連れ帰った
けれどそれは本当にたくさんだから
手持ちの花器だけでは間に合わない

陶器のコップやブロカントのボトルなど
総動員して飾ったら
部屋が花でいっぱいになって
おかしいくらいにいっぱいになって



ほら
もう淋しくなんか
ないでしょう

変なの
ソワソワとして

笑ってるのはだあれ



白い花




白い花




白い花



何日もいっしょに過ごして
やがて茶色くなって
終わってしまった

終わってしまうまで
花たちは
何を想っていたことだろう
私のもとで
思い残すことはなかったろうか



あんなにたくさんいたのに
みんな一斉にいなくなってしまって
コップやボトルは定位置に戻っていって
今は口を開けポカンとしてる

だけど
あなたたちが優しさを与え
記憶を置いていってくれたから
誰も淋しくなんて
ないのよ



白い花



というのは
ちょっとした強がりで

私は花から逃れることが
できないでいる

雨の中で手をつなごう
実家の庭に育つ山椒の樹
その葉を摘んで
手のひらでパンとたたいてみせて
「ほら いい香り」

母が差し出した美しいその香りに導かれるようにして
数枚の葉を口の中へ
私の中へ

するとまたたく間に
口とくちびるに小さなカミナリが落ちて
ただ事ではない痛みと痺れ
ビリビリと麻痺していうことをきかない
すごいの
毒ってきっとこんな感じね
なんて
逸する感覚に笑みを浮かべる私を
母はあきれて馬鹿だと言った

しばらくした後
やっとカミナリは去って行った



それから別の日には純白の薔薇
少し開きかけて柔らかに膨らんだその蕾があまりに美しかったので
どんなに見つめてもまだ遠くて
その美しさにもっと近くで触れたくて
そっとくわえ
噛みちぎった

ゆっくり食むと
それは初めての尊い触感
尊い薔薇
その薔薇をこんなに近くに
これ以上ないほどに近くに
感じて
迎えて入れて
その存在は真実そのものであり
私の欲求を一瞬にして満たし
凌駕して
口の中で清く香しく優美にほころび続け
私は気圧されて

目眩がした

噛みちぎられ残された蕾が咲くことはもうないけれど
その美しさを欠くことはなく
柔らかに白かった

私はうれしくて
もう花々から逃れられない



そしてまた別の日には
さらに愛おしいものを私の中にとり込んだ
けれどほんとは偽りのもの
愛おしいものを象っただけの別のもの
だけどいいの
本物の欠片はこの手でちゃんと拾い集めるから
それに甘いお菓子は大好きだから
甘くて優しくて
すぐに形を失って
消えてしまう



三日月



求めるものを
美しいものを
目と
耳と
口と
どんどん入れてしまいたい

恍惚としてクラクラ
戻ってくるのが大変だけど
幸せ

これが至福

ここにある喜び



ワイヤープランツ





このごろのお天気はどうしたことだろう
突然空を重たい雲が覆い
ザーッと激しい雨が降る

為す術がなく
大切なひとたちが雨に濡れてゆく

雲のあやつり方は知らないの
あやつられているのは私たち
ほら 頬が濡れている
みんなで濡れてしまうなら

雨の中で手をつなごう