さいとうつづりの黒い森
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千夜

鏡に映るの


アナタダレ






夢の飛沫


息を止めても






瞳の色を


指でなぞって






解けることはない


キミヲ






胸に降るの




流星












流星

純粋


純粋に










純粋に










純粋に










純粋に










純粋に










純粋に










ただ純粋に















想月


オナジイキモノノヨウニ

すすき








深秋

初冬


 
私の部屋は
この季節によく似合う



外も
部屋も
同じ呼吸をしていて
同じ生き物のように



部屋をあたためて私のものにしては
いけない気さえして



けれどその呼吸を掬って
静かに重ねて
吸い込んで
同じ生き物のように








姿は見えずとも
影は深さを増して
落ちて
落ちたそこらじゅうが扉のよう



そこから漏れて
聴こえる
呼んでいる

もっとおいで
もっとおいで

苦しくなくなったら
このすべてを失うよ

声がする








気付くと目は森を映している

もうずっと
森がある








深秋








ガーネットのピアスを失くした
とても大切にしていたものだった



またひとつ特別な絵本に出会った
ドクドクとして
開いた次の瞬間には連れ帰ることを決めていた








欠損した美しいもの
記憶集め

私の猛獣は
月の欠片を探してる

花園の鍵は
何処にある



大切な大切な
音楽を
抱きしめる

オナジイキモノノヨウニ








深秋

眠れないあなたへ

仲間はとうに次の夢に行ったよ


みんな首をもたげ

時に切られ

深く深く眠るように


次の夢へと行ったよ





ここにはもう

あなたの焦がれる光は無い


細い体で頭を支え

どんなに空を見上げても

あなたを惹き付け

生かす

あのひとの姿は無い





きっと目覚めの時を少し間違えたの


でも大丈夫

あなたは何も覚えていないかもしれないけれど

少ししたらまた目蓋が重くなる

黒の時が静かにあなたを包む

迷うことなくそうなるから

大丈夫


そしてまた目覚めればいいから

そしたらもうあのひとに会えるから

めいっぱいその体に感じることができるから

悲しまないで


この時は無駄ではない

だから今ここに在ることを

自分を責めて

悲しまないで





悲しまないで





向日葵





昨年の夏には樹のように太い茎に大輪の花を咲かせていた

その同じ場所で10月に咲いた

小さな向日葵





肌寒い夜や

冷たく降り注ぐ雨が

あなたをつらくしませんように

やすらかな気持ちで眠ることができますように


祈るように空を見上げる

そのまっすぐな横顔に

願う


雨苑
 
うたたね


から


目が覚めて


真っ暗で















雨の音















このカーテンの向こうは


永遠で


奥の


ずっとずっと奥の方に


落下する







雨の奥に


国がある


苑がある







朝は酷ね


永遠をどこかにやって


それは夢と言う


歌う鳥を従えて







そうして隠されていることが


たくさんある















庭

1年と少し前に摘み留めた葉




庭

1年と少し前に摘み吊るした薔薇




アサノヒカリ

夜明け




ドクダミ

どくだみ摘んで




花園


雪の鳥とショコラショー

鳥よ





冬のあの日
たくさんたくさんの雪の降った日

あなたたちは
樹の上にいた




身を隠し
寒さを凌ぐことのできる場所はあるはずで

それなのにあなたたちは
樹の上の一番高いところにいた




ただ静かに
そうしてた




雪鳥




また別の寒い寒い日
行きつけのカフェでショコラショーを飲んだ

チョコレートの中にハーブが香って
とても美味しくて
まとわりつくほどとてつもなく濃厚で
あまったるくて

あの日積もったたくさんの雪が
私の口の中で
きれいにすべて解けてしまった




白いもの




樹の上の鳥を目にすると
しばらくその姿が頭から離れなくなってしまう
思い
囚われる
それはいつものことだけれど




あの日の鳥のことは殊更で
まだ心に仕舞うことができないうちに

雪は解け

空気は緩み

また今年も
春が来た




魔物を連れて

魔物のような




春が来た

スープモノガタリ


森







手を冷たくした日も



すべてがひどく
冷たかった日も







スープ







溜め息が凍り付いて
足下に落ちた日も



文字も詩も
言葉も音も
なにもかも凍りついて
壊れ落ちて行った日も







スープ







空を傾けて逃げようとする
あの大きな雲を追った日も



そして帰り道を
失った日も



もうどこへ帰ることも
できなくなった日も







スープ







割れた氷を
縫い合わせようとした日も



薄い氷



祈るように
糸で縫い合わせた日も







スープ







もういいのと
呟いた日も



もういいの



どんな思いを
してもいい







止めることを
やめた日も



どこまでも







スープ







白く小さなものを
集めようとした日も



けれど触れたら
融けてしまった



してはいけなかった
触れてはならなかった







また罪を犯した
私は
罰を受ける



この美しきを
閉じ込めた日にも







スープ







来る日も

来る日も

スープを食べるのは







入り口




森




森




森




森




森




森







そう
もっと奥

もっと奥へ






この森

私の森

あなたの消えた森







彷徨っていたら







もう冬が

終わるという


スープモノガタリ

あなたなら月のことを
知っていると思ったの


あなたは月のかけらを
口の中に入れたひと




瞳の色がすうっと時々
薄まるの


色素が退いて
そこにうっすら光が差し込めば
砂金を蒔いた草原のよう




見ていいの

いけないの

見てしまう


風が吹く




錯覚と思うくらい
だけど私は見つめてる

あなたの瞳を
覗き込んでいる


色が帰ってくるまでの
それはわずか数分のこと




鏡を嫌う
あなたはいつも物憂げな顔をして
静かに瞬きをするばかり

ぽつりとなにか言葉を落としては
また自分の中に帰ってしまう

瞳に起きる現象には気付いていないのかもしれない
けれど


私はそれを
何よりの安息としているの

何よりの安息としているの






その夜の月は決まって白く
時の流れを遅くする


眠る者は眠り続け
起きている者は森へ行く






秩序の歪みに
あなたはひとり後悔している
あの日
月を口にしたことを


けれどいいの
そんなのはなんでもないことだから

あなたがしたことは罪でなく
宵闇の鳥の羽ばたきや
花の美しさと似たことだから


いいの
誰にも言わないから

いいよ
もっと話をしましょう
深く
だからあっちへ行きましょう




どんな味がしたか
教えてほしい
できるだけ詳しく
感じたことすべてを教えて

私の手帖に
書き留めておかなくてはならないの

それはとても
大切なことだから




どのくらい大切であるか
あなたにはまだ
想像がつかないかもしれないけれど


それはまたいつか

おしえてあげる


















髪がまた

長く

長くなり




けれどとりたてて不便はしていないし
洗うのも苦ではない

なぜなら短いことを知らないから

そして短い髪に憧れることもない




小さな頃から長い

私の髪




それにはささやかなる理由があった

今は無効になった

けれど私は長くしていたい
それはこの先も変わらない
変えたくない
そうあることで守りたい




パーマをしてみたい
重めの
くるくるに巻いたのがいい


ずっとそう思いながら

ずっとしていない









スープ

起きている者のためのスープ
月のイメージ
月の影入り
(手帖の1ページに記憶してあった古くのメモより)

スープモノガタリ

回転木馬に乗りたい

どこかへ行きたかったら
あれに乗るといい

美しい馬に揺られて
まわって
まわって
まわっているうちに

どこへも行くことができるから

どこがいい

それでは
あのね



それはおやすい御用だ
さぁ
あの背に乗るといい

ずっとまわっていればいい






黒い靴ばかりある

どれもこれもまっ黒ばかり
同じようで
違う靴

だけど今度は深い茶の編み上げブーツが欲しい
同じ色合いのバッグも欲しい
そしたらそれに合うお洋服も欲しい
アンティークのたたずまい
レースや細かな刺繍のあるもの
ガーネットのあしらわれた細いリングも欲しい
欲しい本は20冊ほどある

欲しいものはもっとある
たくさんある
それはいいことと思う
求めなくてどうするの

だけどほんとうに欲しいものは
言わない
そして

言えない






ジェノベーゼが大好き過ぎて
まだたっぷりと残っている使いかけの瓶の他に
気付いたらストックが2つもある
これ以上増やしてはなるまいと誓う

私は食事を続ける

秋も冬も
草を食む
花を食む
密を食む






化けの皮を剥いであげよう

ふと浮んだ言葉

どうして
化けてなんてないよ
ほら
見えるでしょう

では捕えてあげよう
それは放つことと同義だよ
知っているだろう

あなたたちは誰






スープ

スープ

スープモノガタリ






スープは森の食べものさ
森を行く者が食べるのさ

森で出会ったおばあさんがそう言っていたよ

先にスープを食べたあなたは
この森の奥にいる


私は食事を続ける

草を食む
花を食む
密を食む

すべてをスープに
してしまおう






スープ

赤を知ったセロリのスープ






おまえのスープ物語は
まだ始まったばかりさ

森のおばあさんがそう続けて言ったよ

海 思フ

大きな夕日が身を投げ
溶けた


 umi


こんなに美しい
海を見た





言葉は無く
心は同じ色となる


こんなに穏やかで
いいのかしら


この下は真っ暗であることも
忘れてしまいそう





見るだけでは飲まれてしまう
溶かされてしまう


だから嫌なの
不安になるの





私は途方もないあなたを畏れている
思っている


けれど
あなたを必要としてはいない


あなたに似た場所を
よく知っているように思うだけ
あるだけ










よかった


海の近くに住んでいなくて
よかった