さいとうつづりの黒い森
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コギト・エルゴ・スム
 
12月に入って

母たちの喫茶店の飾り付けにと

リースを作った






使用する花材を選びにいつもの花屋へ行き

他の季節にはそこで見かけることのない

杉の大きな枝に目が止まり

気付けば抱きしめて持たなければならないほど幾本も買い込んで

電車に乗って

夜道を歩いた






リース






リースに使用したのは僅かで

残りは当てもなく私の部屋に横たわる


次の日に見るとそれはもう呼吸を取り戻し

枝は木となり

木は森となった






もう嫌よ


私は冷たい手と冷たい足を切り離して

森の片隅に埋めた

それで少し楽になったと思ったけれど

私の持つもの形作るものすべてを手放したくて

狂おしい


私にあるのはいらない私

それを失くすにはどうすれば


そう考えるのもまた私


いつしか開いた森がこうしたの

森に憑かれ

森は私を喰らい

入り口へはもう戻れない


部屋は木で埋め尽くされて

部屋と森の境目がわからない

どこか奥のほうでホーホーと梟が鳴いている

朝か夜かもわからない






滑稽と己を嘆き

己を笑い

手と足を掘り起こしてローズマリーの湯に浸けて

それらを躯へと戻した


野菜をきれいに皿へ盛り付け

丁寧に味わって

それから木のスプーンでスープを飲んで

清潔なナプキンで口と頬を拭いた






まだ少し冷たい手と

つないだ腕と


静かに森を

抱きしめた


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